12月 9, 2018

「海浜くらしの研究所」Vol.6 ナガオカケンメイさん(後編)

Vol.5 ナガオカケンメイさん_img01

その土地らしさを、土地の人と一緒に考えることから出発し、47都道府県それぞれの個性を発信していく。
「海浜くらしの研究所」Vol.6 ナガオカ・ケンメイさん


さまざまなジャンルで活躍するライフデザインの達人たちを迎えて、どんなくらしが自分を楽しく、豊かにしてくれるのかを研究する「海浜くらしの研究所」。
その第6回目のゲストは、先週に引き続いてナガオカ・ケンメイさん。47都道府県に1か所ずつ拠点をつくる「D&DEPARTMENT PROJECT」の創設者として、その理念や具体的活動、さらに、くらしのなかで一番大切にしていることついても、お話しいただきました。


その土地に住み、住民と共に作る観光ガイドブック

(『D&DEPARTMENT PROJECT』が発行する観光ガイドブック『d design travel』は)先週もお話ししたように街がいろんな街の要素を真似して似てきてしまうのが嫌なので、その街らしさをテーマにしたガイドブックを、47都道府県ぜんぶ出していこうと。人気のある都市のガイドブックは出版社的には売れるんですが、人気のない所はガイドブックとして出てこない。僕の活動は「47都道府県平等に」ですので、東京号と(手元にある今年3月発行の)千葉号で厚さが違う、とかはないんです。

Vol.5 ナガオカケンメイさん_img01

作り方は、基本的にその土地に2か月間は住み込んで延べ4か月くらいで作るんですけども、2泊3日の旅人と違って、1週間も10日も住んでいると、聞きたくないことも、いろんなことが聞こえてきますが、そのリアリティが重要だと思いますね。みんなで話し合い、その土地らしさがある所に、編集委員として通うんです。そして自分が納得してから取材申し込みをする。だいたいこのビジネスは、インターネットで調べて、取材申し込みをして取材をして載せますけども、(このガイドブックは)僕がいいと思っていない所は載ってない。だからすごく極端なので、一冊好きな人は全部好きだし、嫌いな人はもう嫌いで、でもそれでいいんじゃないかなって。

最初は編集部で取材していたんですけども、やっぱりその土地の人たちを巻き込んでいった方が絶対いい。そもそも、その土地の人たちって、自分たちの土地らしさって考えたことが実はないので。例えば「千葉らしいカフェはどこですか?」って訊いても、分からないんですよ。話題の東京のカフェみたいな、そういうお店はバンバン出てくるんですけども。そこで“千葉らしさ”って何だ、から考える、というワークショップをやりながら作っています。
ジョージさんが「自分がいつも通っているカフェを、ここすごいんだと思う」と言った通り、そこを自分たちの誇りにしながら、新しく都市を開発していかないといけない。そのときに千葉だったら千葉らしさを原点に据えながら新しい街や店舗をつくっていく方が自分の生活のなかに取り入れられるので、住んでいて居心地がいいんじゃないかな。



47の個性を発信する場所

(渋谷の「ヒカリエ」には47都道府県の魅力を展示するミュージアム、デザイン物産美術館「d47ミュージアム」もありますが)ガイドブックの取材が2か月間にわたって濃厚に繰り広げられるので「(ミュージアム用の)展示物、何か貸してください」って(地元の人に)言うと、暖簾とか貸してくれるのですが、「暖簾貸して大丈夫?」って思います、だいたい2か月ぐらいは展示するので。日頃は47都道府県がテーマで、47のテーブルにテーマが一つずつなんですが、観光ガイドができたときだけ、その47をすべて使わせていただいて、1県だけの展示をしています。

(『d47食堂』も)47都道府県をテーマにしていますが、常に47都道府県の定食は出せませんので、10県ずつくらいをローテーションしていて、できる限りその土地の器を使って、その土地の料理研究家の人たちと、定食の形でお出しします。これもデザインだと思うんですけども、その土地らしい食文化ですね。



しゃべっているように書くのが一番

Vol.5 ナガオカケンメイさん_img01

(デザインという言葉の意味は)僕が言ってるデザインは、その土地に昔からあったもの、でいいと思います。(文章の方は)みんなで書きます、みんなで写真を撮ってみんなで取材して。まあそこがまた難しいんですけどね。僕の指導は「自分の言葉で書いてください」ということ。でも、自分の言葉で書けないんですよ、みんな。ジョージさんが「しゃべってるように書いちゃえばいい。ヘミングウェイも簡単な言葉しか使わないで、しゃべっているように書いてる」と言いましたが、本当にそうです。それが多分、残る。いつまでも残る原因だったりします。それなのに(書けないのは)どこか雑誌の読み過ぎですよね。プロのライターって上手に言葉を発明して上手に組み立てているんですけど、それを使っちゃう。



面倒臭いことを、何も考えずに毎日続ける

(くらしのなかで一番大切にしていることは)僕ね、朝起きたら必ずベッドメイクをするんです。自分が、ぐちゃぐちゃにしたベッドを寝ぼけながらも整えて。そして、お風呂でシャワー浴びるときも、お風呂掃除をして。朝、必ずこの二つはやっています。これって禅の考え方なんですが、面倒臭いとか何も考えないで、とにかくやる、やり続けるっていうのは、自分のなかで取り入れているんです。

Vol.5 ナガオカケンメイさん_img01

ジョージ:
何やる、麻耶ちゃん、朝起きて?

麻耶:
犬の水を替える。

ナガオカ:
いや何でもいいと思うんですよ、面倒臭いと思うようなことを、毎日やり続けるといいと思います。

ジョージ:
僕、毎朝ぜったいやるのは、事務所に行って熱帯魚にえさやる。

麻耶:
変わらないじゃん、たいして私と。



前編はこちらへ⇒「海浜くらしの研究所」Vol.5 ナガオカケンメイさん(前編)