4月 28, 2019

「海浜くらしの研究所」Vol.26 春風亭一之輔さん(後編)

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名作落語「芝浜」をもとに、創作落語やラップにまで展開。ヨーロッパでの字幕付きの落語公演などチャレンジを続ける。
「海浜くらしの研究所」Vol.26 春風亭一之輔さん


さまざまなジャンルで活躍するライフデザインの達人たちを迎えて、どんなくらしが自分を楽しく、豊かにしてくれるのかを研究する「海浜くらしの研究所」。そのラストとなる第26回目のゲストは、いま最もチケットが取れない落語家の一人と言われる春風亭一之輔さん。最後も一之輔さんの軽妙なトークが運ぶ大爆笑のなかで、落語はもちろん、ご家族のことも語っていただきました。



ポルトガル人が主人公の創作落語

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(50両入った財布を拾った魚屋が『それは夢だ』と言われて商いに精を出すという『芝浜』という落語がありますが)その前の50両入った財布が、なぜそこに落ちていたのかっていうのを想像して僕が『芝浜由縁初鰹』(しばはまゆかりのはつがつお)っていう落語にしたんですよ。主人公はポルちゃんっていう、ポルトガル人の水夫が主人公なんですけど、酔っぱらって日本の方を眺めながら、マカオの沖で足を滑らせて海に落っこって波にさらわれて日本に漂着する、そこから噺が始まるんですけど。そこ(噺の山場)で出て来るスーパーヒーローが皆さんご存知の銭形平次で、50両分のお金をバッ、バッ、バッと投げて何十年か後、魚屋につながる噺なんですが、よかったらCD、聴いてみてください。



浜辺で指輪を落として大騒動に

(CDのブックレットは海で撮影されていますが)これは、千葉の九十九里浜です。ゴールデンウィークの日の出の時間に撮らなきゃいけない、っていうことで、まだ暗〜い3時半くらいに着替えたんですが、僕、基本的には着物のとき(結婚)指輪を取るんですよ。で、指輪外したら砂浜に転がってっちゃって。「着物を着替えるときに指輪取ったらよ、転がっちゃったよ砂浜。どこだ、どこだ! ここでなくしたらカミさんに殺されるぞ、おい」って。で、スタッフさん5人くらいで、携帯のスマホの灯りで僕の指輪を探した思い出がよみがえりました。見つかったから、いましてるんですけど。

(海浜くらしについては)千葉県の出身なんですけど、野田ってとこは海とまるで接してなくて、海に行くんでも、ちょっと旅みたいな感じで。子供のころ親に夏休み連れられて、鴨川に行きましたね、2泊3日くらいで。シーワールドとか、行川アイランドって、フラミンゴがいっぱいいるテーマパークみたいな場所があったんです。

(マリンスポーツは)僕、25メートル泳げないんですよ、息つぎができないんで。でも海は行きますよ。砂浜でね、波音を聴きながら寝っ転がっちゃって。いいですね。



ラップユニットのプロデュースも

(2017年に、女性2人組ラップユニット『hy4_4yh(ハイパーヨーヨ)』の音楽プロデュースを行いましたがが) 二人が僕のラジオ番組によくゲストで来るんですよ、落語もたまに聴きに来てくれるんで、ついちゃあ何か一緒にやりましょうか、ということで、「芝浜」をラップにした「SHIBAHAMAX〜シバハマだいたいこんなかんじ」の歌詞を書いた、それだけなんで本格的なことは分かんないですけど。会場に行くとファンが「一之輔師匠ですか? 二人をよろしくお願いします」って、みんなが僕に握手を求めてこられる。そこまではできないんですけども、いい経験しましたね、これはね。



ベルギーの落語公演ですべる

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(海外のツアーは)現地の日本語の分からない皆さんに落語を聴いてもらおうっていう企画で、2016年は3か国(フィンランド・ベルギー・ドイツ)、その前の前の年に6か国、ヨーロッパを回ってきました。事前に僕の落語をもう字幕にしといて、落語好きのドイツの通訳の女性が笑いのタイムラグがないように作ってくれる。落語は、酔っぱらいが失敗する噺とか、親子関係の噺とか夫婦のいざこざとか、そういう万国共通のネタを選んでやるんです。

(お客さまの反応は)あんまり日本と変わらないです。やっぱり若い世代の方が笑いますね、食いつきがいい。ベルギーに行ったとき、ゲントって都会では、若い人がど~んと笑うんですけど、ちょっと田舎のワーテルローでは、おじいちゃんおばあちゃんがね、何も起こらないくらい静かでした。こんなすべったの初高座以来、初めてだってくらい。

このツアーは家族孝行もしなきゃいけないと思って、(子供が)男男女と3人もいるんですけど、みな連れてったんです。ムーミンで有名なフィンランド、面白かったですよ。レストランに入って頼む訳ですよ、ビーフかチキンかフィッシュか。そこで一番下の長女(当時、幼稚園の年長)が「ムーミン」って言ったらね、そこのウェイターさんが洒落が分かってて、「ウェルダン? レア?」ってね。あれは面白かったな。持ってこられたらどうしようかと思いましたよ。



同じようにせず新たに対応

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(暮らしのなかで大切にしていることは)できてないんだけど、心がけてるのは、忘れるってことですね、いろんなことを。失敗したことも引きずんないで忘れる、その場で。なかったことじゃないけども、いつまでもだらだら悔やまない。あと、よくできたときも忘れるようにします。成功に引きずられる場合があるんで。同じようにやればうまくいくだろうと思っちゃうといけないんで。生ものなんで、その場その場で自分のなかで新しくしてリセットしてやる、いろんなことをね。だから、いいと思うんですよ、(ジョージさんが)原稿忘れたりとか、スケジュール忘れたりとか、そういうこともね。(前回のように)ゲホゲホむせても、それも忘れるということで。



人前で噺をするのも稽古

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ジョージ:
一之輔さん、ありがとうございますっ。

一之輔:
むっとして終わった。それも忘れるという。だから僕のことも忘れてください、また忘れたころに現れますんで。

ジョージ:
来なかったことにしとこう。

一之輔:
なんだよ、ちゃんと振り込んでくださいよ、請求書持ってきましたから。

麻耶:
あはは(笑)。じゃあ、お二人でそれは、外でやっていただいて(笑)

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前編はこちらへ⇒「海浜くらしの研究所」Vol.25 春風亭一之輔さん(前編)