2月 24, 2019

「海浜くらしの研究所」Vol.17 中村新吾さん(前編)

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日本のサーフィンカルチャーを創ってきた老舗企業で、未来の文化やサーファーをさらに生みだし続ける。
「海浜くらしの研究所」Vol.17 中村新吾さん


さまざまなジャンルで活躍するライフデザインの達人たちを迎えて、どんなくらしが自分を楽しく、豊かにしてくれるのかを研究する「海浜くらしの研究所」。その第17回目のゲストは、千葉県長生郡一宮町にある老舗サーフボードメーカーでサーフショップも営まれるカルホルニアハワイプロモーション(通称 CHP)の2代目オーナーである中村新吾さん。今日は中村さんに、日本のサーフィンの発展とも関わったCHPの活動について、お話しいただきました。



日本のサーフィン文化を開拓

(CHPは)父(中村一巳)が始めた会社なのですが、カリフォルニアとハワイがその頃(1976年創業)のサーフボードのカルチャーの先駆けで、それを日本のサーフィンカルチャーに橋渡しする意味を込めて名付けたと聞いています。カタカナ表記は「カルホルニア」ですが、たぶん登記する際に間違えたんじゃないかと思います(笑)。

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今年で44年目になりますが、日本にサーフィンが入ってきた頃に、父がアーミー(米国陸軍)の人が湘南でサーフィンをしているのを見て、「あれは何だ」とサーフボードを探し始め、突然、脱サラしてアメリカに飛んだのですが、そこでシェープ(サーフボードの型削り)のノウハウとサーフボード作りのいろんなことを半年以上、学んだのがカリフォルニアの日系3世でシェーパー(サーフボードの原型を作る職人)だったタック(タック・カワハラ)でした。日本に戻ってきて「サーフボードの工場を始める」と言って、サラリーマンとして働きながらショップをまず立ち上げました。「サーフィンって何ぞや」という時代で、サーフィンに興味をもった若者たちが夜になると(奥にあった喫茶店に)遊びに来ていたのを覚えています。ショップにあったのはサーフボードとスーツ、トランクスにワックスだけでした。

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日本のスポーツ関連会社がサーフボードを日本で初めて輸入した際に、間に入ったのもタックでしたが、価格を決める際に「12,300円じゃ安いだろう」と(123をそのまま)123,00円にしたという話を父から聞いています。大卒初任給が6万円くらいの時代でしたが、父は5台入った(サーフボードの)うちの残った3台を母に内緒で買ったらしいです。



五輪のサーフィン会場で活動

一宮町の (オリンピックのサーフィン競技会場となる通称『志田下』の) 釣ヶ崎海岸は千葉のこの界隈では“波乗り道場”と呼ばれるポイントで、エキスパートエリアみたいな感じなんですね。ここをホームグラウンドにしてプロサーファーになった子たちが、グランドチャンピオンに何回もなっている、っていうような場所。若い子たちが入ってきても、うまいレベルの人たちがたくさんいるから、それを凌いでうまく波乗りができないとトップに立てないぞ、っていうくらいのレベルの所なので、自分は(ここでは)蚊帳の外って感じでした。20年くらい前から、地方でサーフィンを頑張ってる子たちが、ここをめがけて千葉に移住していますね。(この番組に以前出演した大原洋人さんは)アマチュアのときから一宮で(サーフィンをし)伸びてる次のジェネレーションのサーファーですが、お店にもよくワックスを買いに来てくれますよ。



自社ブランドで歩む

(サーフボードブランドの『CHP SURFBOARD』は)自社工場で自社ブランドとしてやっています。弟の大輔はシェーパーですが、彼は現役プロサーファーのときに、海外の大会でシェーパーとつながりを持って、そこから少しずついろんなものを学んでいき、いまでもいろんなシェーパーとコミュニケーションを取りながら、常に新しいモノを考えていますね。

ボードは、自分がどこのポイントでどういうサーフィンをしたいかという目的で作られた方が、的を得たモノを提供できると思います。世界どこにでも提供されているボードブランドもありますが、基本的には、さまざまなエリアやポイントで環境に合わせて違ったボードが作られています。



一流コーチによるレッスン

(サーフレッスンは)ここ5~6年で非常に大勢の方がエントリーされるようになり、年齢も、お子さんから (高齢の方まで幅広く)、この前デビューされた方のなかには65歳の方もいましたが、うれしいですね。

「コーチも豪華」と言っていただきましたが、例えばビギナースクールから教えている岡野教彦さんは、父の次の世代のレジェンドの方で、元プロサーファーであり、ショートボードでもロングボードでもプロになった方なので、非常にやさしく丁寧に教えてくれます。

そのほか、JPSA((一社)日本プロサーフィン連盟)で3回、グランドチャンピオンになった河野正和や、「スタイルマスター」と呼ばれている吉川共久(などが所属します)。二人はどちらかと言うと大会に出るためのレッスンを行いますが、ビギナー用・初心者用と (レベルに合わせて)二つに分けてレッスンを行っています。

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ジョージ:
(岡野さんは)僕と同い年なんだよ。

麻耶:
あれ? 大違いですね、この方(ジョージさん)は、“教える教える詐欺”ですもんね。だいたい、みんなのこと放置ですもんね。

ジョージ:
サーファーって、海入ってさ、波が来たら行っちゃうしさ。

中村:
結構、難しいですよね、サーフィンを教えると言っても、自分が夢中になっちゃったりするから。

ジョージ:
そうそう、波がないときは教えたくないしさ。



ゲレンデの近くのお店へ

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(初心者へのアドバイスは)分からずに手あたり次第にやるよりは、調べてもらって、できればゲレンデの近くでスクールをやっているお店が、ウチを始めたくさんありますから、(そうしたお店に)行ってください。ゲレンデの状況とか、海のコンディションによってスクールができるとき、できないときがありますから、そういう専門的な要素を分かっているお店の戸を叩いてみるのがいいと思いますね。(スクールには)バスタオルと水着だけを持ってきてくれるだけでいいです。