2月 17, 2019

「海浜くらしの研究所」Vol.16 押尾コータローさん(後編)

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5本の指全部にピックを付けているイメージの奏法から、フルオーケストラのようなギターの音色が生まれる。
「海浜くらしの研究所」Vol.16 押尾コータローさん


さまざまなジャンルで活躍するライフデザインの達人たちを迎えて、どんなくらしが自分を楽しく、豊かにしてくれるのかを研究する「海浜くらしの研究所」。
その第16回目のゲストは、先週に引き続いてギタリストの押尾コータローさん。今日は押尾さんに、ギタリストとしてのスタイルや、くらしのなかで大切にしていることについてもお話しいただきました。



女性ファンとネイルでつながる

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(ネイルアートは)最初はスカルプチャー(厚みや長さをもたせる、つけ爪の一種)というのを自分で10年くらい塗っていました。生爪では爪がすり減るのでネイルコートを塗っていて、それでももたなくて教えてもらったのがスカルプチャーだったんです。自分でやっているとちょっといい加減になって、特にリムーブで無理やりはがすので、よくないんですね。爪の薄さがクリアファイルとか、脱皮直後の蟹の甲羅みたいになって。それでジェルネイルにして治していて、その感じがすごくよかったのでプロのネイリストにやっていただいて、初めて出た言葉が「めっちゃ上手いですね」。それはプロでやってますからね(当たり前ですが )、「処理が素晴らしいです」とか言って。

(2017年にネイルクイーン アーティスト部門賞を受賞していますが)だいたい素敵な女性が選ばれているんですが、毎回、SNSで「今日はこんなネイルです」とか言ってアップしていると、女の人が「わっ、すご~い」ってほめてくれるんですよ。いままでは男のファンの人が「ギターのボディの材質なんですか? これはローズウッドでどうのこうの」って女子は入ってこれなかったのですが、ネイルをやってから「すご~い、私もやったんです」とか言われるようになりました。


ジョージ:
麻耶ちゃんは(ネイルは)どうなの?

麻耶:
あの、シンプルに。

押尾:
でも、すごく素敵ですよね。
なんか、そういう話が女子とできるようになりましたね。

ジョージ:
(笑)

麻耶:
盛り上がりますよね~。



日本のフォークがギターの原点

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(ギターを始めるきっかけは)女の子にモテたいと思った中学校2年生のときにフォークギターが弾きたくなったのが最初でした。自分がやりたいと思ったのは日本のフォークで、松山千春さんやアリスに長渕剛さんとか、いわゆる歌謡曲フォークみたいなのを聴いてたんですけど。(指先と爪で弾いて演奏する)フィンガーピッキングや、ピックを持ってジャカジャカ弾いて歌うのが好きでやっていて。高校生のときにフォークソングクラブに入ると、2・3年生の先輩やOBの先輩に「もっと、こういうの聴きなさい」って言われて、井上陽水やかぐや姫に、ピーター・ポール&マリーとか海外の演奏家も教えてもらって。そこから自分たちでも探し始めて高3のときに関西フォークに出会って「すごいの出てきた」とか言って。そこで中川イサトっていう、いまの僕の師匠に出会うんです。中川イサトさんは五つの赤い風船というグループにおられて、独立して日本の“ギターインスト(ルメンタル)”の世界をつくられた方なんです。


マイケル・ヘッジスの衝撃

僕はピックを親指と人指し指で持つんですが、それだと他の指が使えなくなっちゃうので5本の指全部にピックを付けてるイメージで(弾きます)。結構、弾いてる途中にピックを落とすんですが、これだとピックを落とすこともないです。

「演奏が(5本の指を使って)フルオーケストラを一人でやるイメージ」と言われましたが、先週お話ししたウイリアム・アッカーマンさんに「マジシャン!アメージング」と言わしめたマイケル・ヘッジスっていうギタリストがいるんです。彼のギターを見たときに、いままでギターは座って黙々と弾いてるイメージだったのが、ダンスしながらチューニングを変えて、立ってやられていて、それが衝撃的で、そのスタイルを僕もマスターしたいと思って、そこからですね。



やる気があれば誰でも弾ける

(ギターレッスンは)「押尾コータローは難しい。弾けない」って思われるのを「そんなことないです、頑張ったら弾けます」って言ってやっています。いまはネットで見られるんで、通勤・通学の間に、満員電車の中でも右手の動きをエアで弾くように、他の人に迷惑がかからないように練習するとかね。(ギターを始めるのに)年齢は関係ないです。要はやる気ですよね。若い人の方が記憶力がいいとか言うけど、それはない。やっぱり「やりたい」という気持ちだと思いますね。

(自分の練習は)気が付けば1時間とか2時間すぐ経っているんですが、5時間くらいはやっていますね。レコーディング(の間)とかずっと弾いてますから、逆にスタッフに気を遣います、休憩できないままず~っと付き合う訳ですから。
ライブが終わって、アンコールも終わって「ありがとう、また来るね~」とか言って、「お疲れさまでした」の後、また自分の机でボロ~ンとか弾きだして。「押尾さん、いまライブでやってましたよ、ギター置いてください」って言われて。でも、そこから趣味のギターの時間になる訳ですよ。趣味の押尾君のモードとプロでやるときのモードと共通してたりするから。


大切にしたい会話

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(暮らしのなかで一番大切にしていることは)会話ですね。最近は、人と目と目を見て会話するのを、ラインやメールで済ませてしまえるから。それは便利でいいんですが、隣にいるのに「今日どうする?」みたいなことにもなり兼ねないでしょ。二人で会話してるのに、(画面を見ながら)「今日、ごはん何食べる?」って、目を見て話せばいいのに。ちょっと5メートルか10メートル離れてるだけなのに「いまどこ?」とか言って。15メートルしかない隣の部署なのに、そこまで言いに行かずにラインで済ませちゃうんじゃなくて。ごはんとか美味しいものを食べながらっていうのは、そこはさすがに電子的には無理なので、「ごはんを食べる」っていう原始的なところを大事に、お酒を飲みながら会話するっていうのが、すごく大切かなと思います。

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前編はこちらへ⇒「海浜くらしの研究所」Vol.15 押尾コータローさん(前編)